アート驚く

忘れていた、そうそう、もうすぐ、大竹伸朗 全景 1955-2006
始まる。女房を質に入れても行かなきゃ(ウソ)。

これまで紹介される機会のなかった彼の子供時代から現在までの全貌が、
この度開催される大回顧展によって明らかになります。
企画展示室全3フロアを埋め尽くす異例の規模で、大竹伸朗の「全景」を展開します。

開催日 10/14(土)〜12/24(日)
場 所 東京都現代美術館 企画展示室
全フロア

本は少しは読めども、書きまで至らず。いっぱいっぱいなんで。
大竹の描いた絵本のレビューを引用、本日のエントリーに換えさせていただきます。
いつになくお利口レビューなのはひらに、ご容赦。

『ジャリおじさん』 おおたけしんろう/福音館書店

好きな絵本は何ですか。 

子どもは小学校二年生。ちょっと長めの物語もすっかり一人で読めるようになった。はじめて図書
館で図書カードを作ってもらったら、そのカードを手にして満面の笑みを浮かべていた。そして児
童図書コーナーへ駆けていった。

一番最初に、出会った絵本は何だったろう。『こんな子いるかな』だったかな。『うさぎのうさ子
ちゃん』だったかもしれない(「ミッフィちゃんだよ」と口をはさむ子ども。昔はそういったんだ
よ)。そうそう『いないないばあ』も大好きだったなあ。
『いないないばあ』は、ブリブリに破かれて、一部は食べられて、セロテープでくっつけても、ま
たブリブリにされて、結局新しいのをもう一冊買った。

眠る前に絵本を読んであげるのが習慣というか、眠るための儀式になっていた。子どもが自分の本
棚から絵本を数冊見つくろってきては、ふとんにもぐりこむ。それから、その本を読んであげる。
いつもは、妻の役目だったが、時折ご指名を受けてぼくが読む時もあった。

棒読みしてもつまらないだろうと思い、はりきって、登場人物ごとに声色を変え、抑揚をつけて読
んであげるが、イマイチ気に入ってもらえなかったりした。毎晩同じ絵本を見たり、聞いたりして
いるものだから、すっかり話が頭の中に入っていて、読み違えようものなら、情け容赦なくチェッ
クが入る。さすが、融通の利かない血液型A型の子ども。先に、こちらが眠ってしまうこともあっ
た。

で、最も気に入っていたのが『ジャリおじさん』だった。作と絵がおおたけしんろう。そう、あの
大竹伸朗である。タイトルは、かのシュールレアリスト界の鬼才『ユビュ王』や『超男性』の作者
アルフレッド・ジャリに、ちなんだのだと勝手に類推するのだが、案外、ゴロがいいからそんな名
前にしたのかもしれない。

ほんとは、ぼくが作者のファンで購入したのだ。どんな反応を示すか興味があった。喜んだ。スト
ーリーは、チャップリンをスマートにして、インチキっぽくしたようなジャリおじさんが、海へ行
くまでの冒険ストーリーなのだが、ページをめくるたびに、モダンアートなわけ。短めの文章も達
者で。結構、深くて、惹きつけられるものがある。

ぼくも本が好きな子どもだったらしい。
「いつもは、ギャーギャーうるさいのに、本を読んでいる時と絵を描いている時だけはおとなしか
った」
と、母からよく聞かされた。

ぼくが好きだったのは、『十五少年漂流記』や『ロビンソン・クルーソー』などの冒険小説。小学
校の図書館にあった『怪盗アルセーヌ・ルパン』、『名探偵ホームズ』、そうそう『怪人二十面相』
も好きだったなあ。近所の子どもたちと夢中になった探検ごっこ。宅地造成地が大砂漠、フナとり
をした小川がアマゾン河、神社の雑木林がジャングルだった。

通学路の途中にあった廃屋は怪人二十面相の秘密基地。床下に盗んだ財宝が埋まっているとひそひ
そ話をしては、胸をドキドキさせた。工事現場に停めてあったブルドーザーに同級生とよじのぼっ
て、ランドセルから手書きの宝島の地図をひろげた。

最近子どもが、こっているのは、絵本づくり。要らなくなった裏が白い紙を、画用紙がわりに、絵
や文章をつけては、ホッチキスや両面テープで束ねて、絵本をつくっている。

押しつけはしたくないけど、そのうちぼくや妻が子どもの時に感銘を受けた本を手渡したい。なん
なら、また、枕元で名調子で読んであげようか。


review-japan 自動筆記より