ダーウィンフィンチ

ダーウィンの足跡を訪ねて (集英社新書)

ダーウィンの足跡を訪ねて (集英社新書)

声をかけられていた仕事が正式にスタートするとの電話あり。
そのあと、ビジネス書の打ち合わせの電話もあり。スタッフライターとして原稿をまとめるのだ。

『ダーウィンの足跡を訪ねて』長谷川眞理子著を読了。
いうなれば作者のダーウィンへのラブレターのような本。カラー写真がふんだんに織り込まれて、またまた旅情へと誘われる。
シュルーズべり、エジンバラ、ケンブリッジ、ガラパゴス、ロンドンと
進化生物学者である作者のピープルツリーのはじまりであるダーウィンの生まれた地、訪ねた地、暮らした地をオッカケる。

「愛しのダーウィンさまへ」と書評のタイトルはうかんだのだが、
本文は煮詰まっていない。いつものようにダラダラとメモを。

○「アインシュタイン相対性理論」は「古びていない」が、「ダーウィンの進化論」は「古めかしい」と
思われがち。ぼくもそう思う者の一人なんだけど、作者はそんなことはないと。
ダーウィンの発見の新しさ、魅力をいろいろ取り上げている。
たぶん物理学よりも進化論の方がなじみがあるからなのだろう。

○もし、ダーウィンがビーグル号に乗って世界航海せず、当然、ガラパゴス諸島も訪ねなければ、
種の起源』は執筆されなかったろう。でも、いずれ誰かが当時の宗教的禁忌を犯して進化論を発表しただろう。
事実、ウォレスはほぼ同時期に進化論の論文を書き上げているし。

○ガリレオが異端審問にかけられたが、「それでも地球は動いている」という名言を吐いたとか吐かないとか。
人間は猿から進化したなんて、公にしたら異端審問どころではなかったはず。
隠れキリシタンのように『種の起源』を綴っていたダーウィン。

○世界遺産でおなじみのガラパゴス島。「ボーイング727が日々2便」フライトして「年間の観光客が6万人」、
「島の人口が2万人」との記述を読んで観光地かよとびっくり。イグアナ饅頭やゾウガメせんべいはないと思うが。
作者がいうように入場制限するなど環境保護につとめないと、危うい。

○ダーウィンの名がついた「地味」な小鳥ダーウィンフィンチには、ダーウィンはさほど興味を惹かれなかったようだ。
確かに英国のブラックバード、日本でいえばスズメのような存在だもの。
ただ英国にこの標本を持ち帰って「異なる種類がたくさん含まれていることを知らされ」「驚愕した」と。
先日のNHKの「ダーウィンが来た 生きもの新伝説」第23回:シリーズガラパゴス(2)「小さな鳥が大進化!」 は、このダーウィンフィンチのさまざな環境下でのさまざな進化を扱い、
できわめて面白かった。ダーウィンフィンチってダヴィンチ・コードに似ている、まったく関係ないけど。

○「彼は、演繹的な推論を論理的に緻密に行うとともに、それを支持する経験的証拠を、それこそ山のように集めた。
さまざまな実験も考案し、家族ぐるみでそれを行った。統計的な手法がまだ確立していない時代に、定量的なデータを
集めようと努力した」ほら、「新しい」、ナウではないか。