不不易流行

昨晩、NHKスペシャル「東京カワイイ★ウォーズ」
を見る。

エビちゃん、モエちゃん、渋谷109などおおよそおカタいNHKには似つかわしくない民放チックな内容。
プランドだって隠し切れずにバッチリ露出していたし。子どもも食い入るように見ていた。

カワイイファッションが10代から20代の女性を席巻していると。
ファッションモデルがカリスマとなってそのコたちが身につけているものをわれ先と買い求める。
いままではショップが近所になければアウトだったが、いまはケータイからオンラインショッピングで買う。

そこにはブランドコンセプトもつくりや仕立てのよさ、神話も伝説もいらない。
彼女たちの価値基準はカワイイっきゃいい。ただそれだけ。
犬猫といっしょらしく、あんなにほしかったカワイイお洋服もじき飽きて、
また次のカワイイものを物色する。流行はますます早く消尽されるそうだ。
不易流行じゃなくて不不易流行。

ずうっと芳しくない日本の糸ヘン業界は、海外に通用する若手ファッションデザイナーの発掘とともに、
この流れにも乗ろうとする。そりゃ商売だもの、勝ち馬には乗りたい。

昔は海外のブランド直営店なんていまみたいになかったから、
それ風の和製ブランド(エピゴーネン、亜流)でもウケていた。
けれど、本家が進出したら、そりゃ消し飛ぶよな。
さして違わない金額で本物がゲットできるんだから。

なら、欧米に衝撃を与えたといわれるイッセイ・ミヤケやコムデ・ギャルソンやワイズなどはどうなのか。
一枚のファブリックに込められた思想は、彼女たちには「カワイクなーい!」で却下されてしまうのだろうか。

ファッションを勉強することもなく、お針子的技術なんてもちろんなく、
ココ・シャネルというとコスメティクスのブランドだと思っているような女の子も
パトロンさえ見つかれば、デザイナーになれる。Nスペにはそういうコが出ていた。

プロからアマ、作り手の主義・主張から等身大の発想、異化(目立つ)から同化(横並びで安心)、
コンセプトからノンコンセプト…。
ファッションの流れもインターネットやWeb2.0の流れにリンクしているのかなと。

いままでは素人→玄人(当然、長いことやれば何ごともうまくなる)の図式だったが、
これからは素人→素人(あるいは素人っぽさを維持する努力)の図式でないと、長持ちしないのかな。

「不機嫌な日常」 によると
宮台真司企画だそうだ。へえ。

>宮台真司さんが原案を持ち込み、企画に関わったNHKスペシャルの再放送です。

>9月26日(火)深夜【水曜午前】0時?0時49分 ※放送日時が変更になる可能性があります。
>「東京カワイイ★ウォーズ」
>2006年9月24日(日)に放送された番組の再放送です。

>番組予告動画を見ることができます。
>http://www.nhk.or.jp/special/onair/060924.html