地震過剰

ゴースト

ゴースト


台風、高浪、豪雨の後は地震
北海道の地震震度6強というが、
被害をテレビの映像で見る限り、もっと上だろう。
稚内のおじ一家は大丈夫だったろうか。

いつもの季刊誌のマンガの構成をつらつら考える。

『ゴースト』中島京子著を読む。
幽霊に関する7つの短編。
うまい、こわい、おもしろい。
吉ギューのようだが。
いくつか感想を。

『原宿の家』は、かつて表参道路地裏にあった屋敷の話。
不動産屋の「聞き取り調査のアルバイト」をしていた若者が
屋敷にいた女性と出会う。
恋なんかもしちゃうが、実は…。
ホーンテッドハウスもののお約束を踏まえて。
バブル前の原宿には、洒落た屋敷が点在していた。
メインストリートを入ると、
夜はほんとうに暗かった。
霊は土地や家に憑くというが。

『廃墟』は、香港と東京が舞台。
冒頭、スターフェリーの描写から入る。
スターフェリーからの眺めは良いが、
あっという間に着岸する。
九龍城、啓徳空港
いまはもうない。
飛行機がビルにぶつかりそうな感じで
離着陸していた。
香港で知り合った台湾の女性作家。
東京で再開する。
火事で焼失した台湾人の学生寮を訪ねる。
骨董品とガラクタは紙一重だが、
歴史の染みついた廃墟への価値の有無も紙一重

ゴーストライター』。ゴーストがついているし。
編プロに入った新人女性ライターが主人公。
悪戦苦闘する話。
ゴーストライターは、ぼくも経験したことがある。
著者の本や対談のテープ起こしをもらって
決められた章立てで書いていく。
元ネタがあるのはまだ良心的で、
ネットの情報などでゼロから書いていくこともあった。
糸井重里は、「コピーライターは恐山のイタコ」だと
言っていたと覚えている。
クライアントやインタビューした人が憑依する。
それをお筆先のように書きしたためると。
もちろんこの話にもゴーストが出てくる。

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ウマーベラスミュージック

 

MONKEY MAJIK × サンドウィッチマン / ウマーベラス
このところ、はまっている、『ウマーベラス』。
サンドウィッチマン・伊達のゼロカロリー理論がリリックの核になっている。
ゼロカロリー理論、エビデンスがなってなくて、
ちょっと何言ってるか分からないと言われそうだが、
そこは、ギャグなので。
で、ルーツを勝手にたどる。

 

Earth, Wind & Fire - September

当然、Earth, Wind & Fireが出てくる。
9月の定番ソングだし。竹内まりやの『セプテンバー』もいいけどね。
いまの中高年はディスコでフィーバーしたのさ。
って死後ならぬ死語の世界。

 

IN THE SPACE/スペクトラム

スペクトラムもルーツミュージックだろう。
早すぎたバンドか。
Earth, Wind & Fireにひけを取らないファンクさ。
バンマスだった新田一郎にプロダクション社長時代、
仕事で電話したことがある。
ファルセットのイメージが強かったが、
地声は太くよくとおる迫力のある声だった。

 

 

 

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濃い~

数字の国のミステリー (新潮文庫)

数字の国のミステリー (新潮文庫)

 

カラダが休めと要求している。
なもんで録りだめしておいた『アフター6ジャンクション』を
寝転んで聞く。濃い~。

『数字の国のミステリー』マーカス・デュ・ソートイ著を再読。
著者の本は忘れた頃にもう一度読みたくなる。濃い~。
かのドーキンスの後に「科学啓蒙のためのシモニ―教授職」に
就いただけに難しい数学の話を実に楽しくレクチャーしてくれる。
再読でもっともひかれたところ。

「人は概して、ランダムだということが具体的にどういうことなのかを
直感的に理解するのがひどく苦手だ。」

 

 

具体例でコイントスをあげている。
何度かはずれが続けば、人は確率的にそろそろ当たる頃だと。
で、続けて結局大損をする。
ギャンブルや株式投資とか、そうだ。
行動経済学だとコンコルド効果やサンクコスト効果と言うが。



「コインを10回トスして同じ面が3回連続する確率は、
正確には1024分の846となる。この確率の計算では、
―略―フィボナッチ数が重要な役割を果たす」



「gN=gN-1+gN-2」

 

 

以前のレビューはこちら。

 

フラクタクル フユクル - うたかたの日々@はてな



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惜しめない

春風コンビお手柄帳

春風コンビお手柄帳

 

第三のビールをエシャロットを当てに。うまし。
麹味噌は甘味噌なので生野菜にあう。
仲間に野蒜(のびる)がある。
田舎の畑に生えていたが、
近所の原っぱプレイパークにも自生していた。
小学生がひょろひょろの野蒜をそのまま齧っていた。
ワイルドだろ。
行く夏を惜しむ。というが、行かないから惜しめない。

『春風コンビお手柄帳』小沼丹著を読む。
女学生が名探偵となって活躍する。
推理は観察眼と洞察力のたまものらしく、
女学生探偵は日常に起こったささやかな事件を解決していく。
『モヤシ君殊勲ノオト』は、
昼行燈のようなモヤシ君が、事件に向かう時だけは
名探偵に豹変する。
頭をかきむしるあたりは金田一耕助風。
いまでいうところのYA向けにかみ砕いたミステリーと
トゲのないユーモアが絶妙。

巻末に北村薫のエッセイが載っている。
生前の小沼丹の話を書いているんだけど、
北村の『空飛ぶ馬』なんて、この世界の延長上にあるな。
早稲田大学の教授だったというのも共通している。

子どもの時、近所にある空家を幽霊屋敷や
泥棒の集会所などに見立てて
悦に入っていた。

この本に収められている『霧』という作品が
なぜかハードボイルド。劇画チック。

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110ミリメートル

あまりにも真昼の恋愛 (韓国文学のオクリモノ)

あまりにも真昼の恋愛 (韓国文学のオクリモノ)


夜、仕事先で雷と豪雨にびっくり。
世田谷区は1時間に110ミリメートル降ったとか。
以前1時間に100ミリメートル降った時は
玄関内に浸水したが、
それほどでもなかった。
区役所に土のうを届けてもらったが、
その土のうもいまは草が生えている。

『あまりにも真昼の恋愛』キム・グミ著を読む。

『あまりにも真昼の恋愛』はかつて恋人だった男女が
偶然再会する話。
男性は窓際族になって失意の日々を送る。
女性は学生時代の夢だった演劇の仕事につく。
とはいえ客は不入り。
公演に通う男性。演じる女性。
再会と書いたが、関係は観劇者と演者。
話をするわけでもなく。
別れてからの世間話とかもなく。
恋愛が再開するわけでもない。
半分死んだような男性に親近感を覚えてしまう。

『犬を待つこと』は、愛犬が行方不明になって
娘が留学先から帰ってきて犬を母と懸命に探す。
報奨金もつけるが、意外なオチにうまさを感じる。

犬の次は猫。
『猫はどのようにして鍛えられるのか』
主人公は、昼は課長、夜は猫探偵。
小うるさい中間管理職とクールな若手社員の価値観の違いが
面白い。世代や出身国、性別、文化などのギャップは
いい素材だが、それをきちんと作品に仕上げている。
作品によってリディア・デイヴィス
チェーホフあたりを彷彿とさせる。

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くり返し聴く

 

石ノ森章太郎のマンガ家入門 (秋田文庫)

石ノ森章太郎のマンガ家入門 (秋田文庫)

 

『アイデア星野源 をくり返し聴く。
朝の連ドラのテーマ曲。
一番はまあこれまでの焼き直し感が強いが、
全部聞くと3部構成になっている。
強引とも思えるつなぎ。
ポップスで実験作を試みている。
でも、売れる。

『マンガ家入門』石ノ森章太郎著を読んだ。
入門書好きだが、まだ読んだことがなかった。
24時間テレビの石ノ森のドラマはちょっとしか見なかったけど。
この本、マンガ入門とマンガ家になって食べていくための入門と
1冊で2度おいしい構成。
キャラの立て方やストーリーなどをメモした創作ノートや
ネームなどを惜しげもなく公開している。
これはありがたい。
だからといって石ノ森メソッドで誰もが漫画が描けるわけじゃないし。
人気ラーメン店ならスープのレシピは企業秘密なのだが。
ご存じトキワ荘の話もたっぷりと。

ぼくはさほど熱心なファンではなかった。
友人が好きだった『サイボーグ009』の発想が
野球のナインからきたものとは。
ぼくはお色気路線の『009ノ1』が好きだったけど。
当時は前衛的な漫画と言われた『COM』で連載された『ジュン』。

SFからホラー、推理もの、時代劇からギャグ漫画。
少年漫画、少女漫画、青年漫画
晩年のベストセラー『日本経済入門』まで
その引き出しの多さには感服する。
漫画に描けないものはない。
作者は「漫画は総合芸術である」と自負している。
いまでも古びていないコンテンツやキャラたち。
これからも生き続けることだろう。

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ふられる

持続可能な資本主義

持続可能な資本主義

 

朝イチで銀行作業。
ヤフーの雨雲レーダーを見て
雨はそんなじゃないと判断。
一応、傘は持っていった。
そしたら路地を出てすぐに結構激しく降って来た。
風も強くて。
銀行の帰りにスーパーマーケットで買い物。


『持続可能な資本主義』新井和宏著を読んだ。
作者は言う。
「資本主義は息切れしている」と。
それは金融がマネーゲームと化したからだと。
投資=お金が儲かる
というイメージが強すぎると。
確かに、株式投資というと
ハイリスク・ハイリターン。
短期決戦といった印象が強い。
デイトレードやFX、
最近では仮想通貨か。
みな一か八かで結果、儲けを求める。

それはもうやめようと、作者は資産運用会社を立ち上げた。
儲かりそうだから、じゃなくて
「いい会社」だからを投資の基準にしようと。
決算書の数字にあがらないところを見よう。
そして株主から「ファン」になろうと。
その会社の株価が下落しても
ファンならば売りはしない。
「いい会社」なら一時下がってもじき上がるはず。

流行語にもなったがwinwinという言葉がある。
便利な言葉なんで原稿にも何回か使ったことがある。
あとは見える化か。
winwinはどうも三河屋と越後屋が手を結んで
カルテル。って気がする。
作者は近江商人の「三方よし」を引き合いに出す。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」。
最後の「世間よし」が大事だと。
言葉尻をとらえると
じゃあwinwinwinにすりゃいいよね。

作者はさらに「八方よし」が経営の基本だと言う。
「社員よし、取引先・債権者よし、株主よし、顧客よし、地域よし、
社会よし、国よし、経営者よし」。
作者の会社は「八方よし」の会社を見つけて
ファンづくりを支援していく。
たぶん、このあたりが本当の「働き方改革」に関わることだと
思うんだけど。

ひと回りして
仕事と趣味が重なっていて
元気なうちは現役である町工場の熟練職人が
いっちゃんナウなんじゃないかと思うこの頃。

いいNPOと「いい会社」がつながって
いい社会になると。
『グッドワークス!』フィリップ・コトラー    デビッド・ ヘッセキエル ナンシー・ リー 共著にもつながる。
別に似た本を読もうとはしていないが、
なぜかリンクしてしまうことがある。

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