すっぱい大作戦


ご飯に梅干し、無塩トマトジュースに純米酢、
三矢サイダーは、いちばんすっぱいクエン酸強化のをグビグビ。
すっぱいのをいっぱい摂って
夏場を乗り切る作戦。
そのかいあってか、仕事がはかどる。
珍しく予定通りにいく。

『けだものと超けだもの』サキ著を、もうすぐ読了。
有名な『開けっぱなしの窓』は、感心、感心。
かわいくも、恐ろしくも、演出次第、脚色次第。
アウトサイダーとか異邦人とか
そんな言葉でサキを称したい。
異国ビルマ生まれの英国人。
幼いころ、英国で「祖母と二人のおばに育てられる」。
「インド警察勤務」後、ジャーナリストに転職。
さまざまな現場が小説のネタとなったのか。
短編小説の描写の確かさ、
人間の建前と本音など痛いところをねちねちと。
意地クソ悪い見方は、ものごとを徹底的に突き放してみることが
できるからなのだろう。
で、ゲイだった。どおりで。

40歳過ぎて「志願して」第一次世界大戦へ。
ネタ蒐集のためなのか、
間接的な自殺願望なのか。
弾丸が飛び交う最前線の塹壕
何を思っていたのだろう。
改めてサキの評伝が読みたいが、
翻訳されていないようだ。
されていたら教えてちょーだい。
敵国のオーストリア=ハンガリー帝国側には、
ウィトゲンシュタインがいた。
手帳を片時も離さない志願兵。

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ヒアリ・ハット

今日のオヤジギャグ「ヒアリ・ハット」。
忖度(ソンタク)だと、スーザン・ソンタグ
かなりの数、ツィートされている。
なら、「杜撰(ズサン)・忖度」は。

自転車で図書館へ。
帰りは強烈な日差しから逃れるため、
公園を抜ける。
木陰が心地いい。天然のクーラー。

録音しておいたピーター・バラカンの番組で
ドナルド・フェイゲンの確か『ナイトフライ』の片面がかかる。
久々に聴いたが、カッコいい。
ひと回りしてナウな音。
んで、彼がバンマスをしていたスティーリー・ダンを聴きながら、
出力した資料を読む。
老婆猫が眠りから覚め、ゾンビのように徘徊している。
ご飯の催促だ。しばし、待たれよ。

『けだものと超けだもの』サキ著、
『古代日本人の生き方を探る』小林道憲著を二股読み中。

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おサキにどうぞ

クローヴィス物語 (白水Uブックス)

クローヴィス物語 (白水Uブックス)


プリンタの調子が悪く出力できない。
困った時のベーシックな対処法。
プリンタのコンセントを引き抜いて、
パソコンを再起動。
何かあったんですかと言わんばかりに
出力するプリンタ。

フリンとプリンタ。
風鈴とプリンタ。
プリンとプリンタ。
プリン体とプリンタ。
リンダとプリンタ。

『クローヴィス物語』サキ著を読む。
サキって昔、英語の長文読解に出ていたような記憶がある。
あとは、ラッセルとか。
なぜ読んだか、半分は挿画を描いているのが
エドワード・ゴーリーだから。
知らなかった。
実際、ぴったしかんかんで、
彼の起用を考えた編集者はエライと思う。

サキの代名詞というと
「辛辣な風刺と残酷なユーモア」。
訳者あとがきによると、なんでも「オリジナル短篇集」が
いままで出ていなかったと。意外。

仕事の行き帰りに、ちょうどよい短編。
確かに底意地が悪い。
とりすました上流階級のベールをはがしてみたり。
欲に憑りつかれた人々のあさましき顛末などなど。
ミャンマー生まれ」とはいえイギリス人。
『モンティパイソン』にもつながる黒い笑い。

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うれしさも半分

長いお別れ

長いお別れ


新装開店の店に人が集まる。
オープニングセールの
目玉商品に群がるジジ・ババ。
最初は混んでいたその店も鮮度が薄れると、
昔からある地域ナンバーワン店に客が回帰する。
政党も同じじゃ困るんだけど。
ほらオープニングしたばっかだと
スタッフがレジや接客に不慣れだったりする。
すると、お客さまはカチンときてクレームの嵐。
都議選、うれしさも半分ほどか。
ぼくが投票した人は落ちたもの。

久しぶりに週末仕事がないので、
『長いお別れ』中島京子著を読む。
元校長だった父親(夫)が認知症になる。
それをめぐる妻や子どもたち、その家族の話。
作者の介護体験に基づいているそうだ。
大変だが暗くはない。
老母は達観しているが、子ども、特に娘たちは
世間体を気にしながら介護に取り組む。
よくあることだが、どちらが献身的だったかなど。
でも娘は役に立つ。
まったく役に立たないのは、息子、男だ。
何もできないくせにもっと世間体を気にしたりする。
親は嫁よりも娘を頼りたがるようだが、
ボケてしまえなみな同じ。

元校長のキャラが魅力的。
良質のホームドラマを見ているようで、
一気に読了する。
ラストにほろっとくる。このお…。
『長いお別れ』とは、認知症のことを英語でそう言うらしい。
ボケたら長生きする。

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ノット・サティスファイド

大杉栄伝: 永遠のアナキズム

大杉栄伝: 永遠のアナキズム


今回のエントリーのタイトルは、
アナーキーの『ノット・サティスファイド』か
遠藤賢司の『満足できるかな』、どっちにしようと迷った。

大杉栄伝 永遠のアナキズム』栗原康著を読む。
順不同で著者の本を呼んでいるのだが、
この本は初期に書かれたもので
いまのような文体が確立される前だし、
博士論文として書かれたもののようだし。
ゆえに作者の論考に対して引用個所が多くて、
それはそれで参考になる。

大杉栄職業軍人の家に生まれたのは意外だった。
反面教師になったのか。
性的に早熟だったらしい。なるほど。
出来は良く、とりわけ語学はできたらしい。
思想犯で幽閉中にエスペラント語やフランス語を習得したとは。

当時最新の思想だったベルクソンと進化論に
惹かれたらしい。クロポトキンの著作を訳し、
「アリの相互扶助」こそが、何やら大杉の目指す社会、世の中だったようだ。
ほら、働かないアリがいてこそ、アリの社会は成立しているって
聴いたことあるよね、それかと。
風呂敷広げると社会的強者と弱者の共存。
みんなの好きなダイバーシティのことじゃね。

米騒動が当時の日本人の人口の
「6人に1人が暴動に加わっていた」
とは、驚き。
南米あたりで暴動が起き、店舗が襲われ略奪に合うシーンを
ニュース映像で見ると、日本は平和なよい国だと思いがちだが、
100年ほど前は同じようなわけだった。

大杉はアナーキストゆえ
働くことをしなかった。
あ、語学教師はしたが。
原稿料か、そのバンス(前借)か。
あるいは無心に行く。
人たらし的ところが、たぶんにあって
実業家や右翼の大物でも
大杉の思想には賛同しなくても
人間性に興味を抱き、金をくれた。
もらった金は、たまったツケや貧しい仲間にやるなどして
すぐつかってしまう。
語学に堪能なのか、恥に鈍感なのか、
中国やフランスに行っても
ものおじしない。そこは、痛快。

お上のいいなりにならない。
ストライキサボタージュを呼びかける。
既成のものは、くそくらえだ。
自由恋愛を実行して嫉妬から刺されても、だ。
ミカン箱に入っている一個の腐ったミカンが
やがて周囲のミカンを腐らせる。
とでも、思ったのだろう。

武道の一つである「棒術」の達人でもあったようだが、
多勢に無勢。
なんとも凄惨な最期を迎える。
んで、この国は戦争することになっちまう。

無政府主義。小さな政府どころか政府は不要だと。
ルソーの「自然に還れ」どころか
「野獣に還れ」が大杉だと作者は述べている。
為政者というよりも偽政者。
愉快なおじさんではないか。
ただし身内にいたんじゃ、やりきれんかもね。

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誰も知らないポール・オースター

冬の日誌

冬の日誌


湿度がこうも高いと
カラダはシャワーを要求する。

『冬の日誌』ポール・オースター著を読む。
数十年ぶりの著者の本。
元妻リディア・デイヴィス経由で読むとは。
この本は、自伝、自叙伝の類。
私小説と括れないこともないが、
そこはクセがすごい(by千鳥ノブ)作者ゆえ
単なる直球ではない。
結構波乱万丈。
ユダヤ人であることや
ヰタ・セクスアリス
家の履歴書、住んだところで記す思い出、
母親の回想、
なぜ母親を語るとみな、
ロラン・バルトみたいになるのか。
まったく違うんだけど、
小島信夫の晩年の小説にも似ているなと思った。

あるいは、ミュージシャンがベスト盤を出して
ライナーノーツまで自分で書く。
そこには、うまくいったこと、いかなかったこと、
影響を受けた曲や隠し味など、
当人でなければ知らなかったことが
案外ぽろっと述べられている。
これはインタビューでは出てこないか、
著者校でがっつりカットになったりする。
それにも似ている。

『冬の日誌』とは、作者自身が
人生の冬季に入ったことを意味する。
人生の春はみずみずしく、
夏は情熱的で、秋になんとなく黄昏る。そして冬。
植物でも一年草以外は、冬は次の春のために
備える季節とか言われるが、
人間も一年草で、あとは死を松の実。
違った、待つのみ。か。
ヤングな君よりも
非-ヤングな君が読んだ方が沁みる。
『内面からの報告書』も読まないと。

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ピンポンやろうぜ

ピンポン (エクス・リブリス)

ピンポン (エクス・リブリス)


なんとなく波が引く。

『ピンポン』パク・ミンギュ著を読む。
いじめられっ子同士の「釘」、
もちろんあだ名に決まってます。
そして「モアイ」。
こっちはあだ名じゃなくて
本物のモアイ像。
二人はピンポンを始める。
そこに卓球台があったから。

ピンポンは暗いインドアスポーツ。
んなわけない。
温泉場でピンポンすると
なぜ熱くなる。
高校の時、新聞部室で
なぜかピンポンをおっぱじめて
先生に叱られた。

でも、いじめらっれ子だから
当然、いじめっ子はいる。
忘れた頃にいじめられる。
卓球台があったから、
二人は、ピンポンをやりだす。
でもスポ根ドラマと違ってゆるーい感じ。
合間にピンポンのウンチクなどが述べられる。
そう言えば『行け!稲中卓球部』にはまっていた頃があった。

背景などほとんど描きこまれていない
白地の多い漫画みたいな世界。
松本大洋とか。
同名の名作『ピンポン』もあるし。

厨二病は、大人になりきれていない若者を
指す言葉だが、釘とモアイの二人組は
心身ともにどう見ても厨二病だ。
良く言えばナイーブ、悪く言えばウジウジ。

突如天から「巨大なピンポン球」がやってきて
クライマックスを迎える。
ゆるーいクライマックス。

卓球台のある原っぱは、
ムーミン谷であり、
ホールデン・コールフィールドライ麦畑。
アラレちゃんのペンギン村でもある。

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