喜々とラ・ラ



『ラ・ラ・ランド』を見に行く。
ダンスと音楽が良かった。あったり前か。
ミュージカルだものね。
主役、エマ・ストーンのチャーミングさもね。
ファニーフェイスというのか。
オープニングの楽曲が往年のピチカートVを想像させたり。

ジャック・ドゥミ監督の『シェルブールの雨傘』や
ロシュフォールの恋人たち』へのオマージュも
あるらしく。
いずれも音楽は、ミシェル・ルグラン。ブラボー!!
映像の人着っぽい色彩感覚が似ているのかな。

菊池成孔が批判と言うのか、
そんな大したこたあないという批評が
ネットで話題になっていた。
ジャズについて語るシーンがあるが、
ああこういうとこかなと思った。

ミュージカル映画ってどことなく見ていて気恥ずかしさを
感じるんだけど、この映画も少しはあった。
青春の入口と出口。
見終わってから、あたたかいものをもらって
楽しい金曜日の午後を過ごすことができた。

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鈍器カルテット

ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫)

ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫)


TVドラマはめったに見ないのだが、
TBSの『カルテット』は、
もっぱらTBSオンデマンドで見ている。
主役4人が、みな、うさん臭くて、
台詞が多くて、その大半が嚙み合わない…。
昔、はまったデヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』や
コーエン兄弟の映画のワンシーンをなぜか思い出したり。
似てないのだが。

映画館で見てもテレビドラマのような映画があるし、
テレビで見ていても映画のようなテレビドラマがある。
『カルテット』は、後者。

『ドラゴン・ヴォランの部屋』J.S.レ・ファニュ著を読む。
平井呈一以来の「半世紀ぶりの」アンソロジーだとか。
『ドラゴン・ヴォランの部屋』がメインなのだが、
これはミステリーとしてなかなかの出来栄え。
今読んでもすっげえ楽しい。

ひょんなことから遺産相続かなにかで小金持ちになったイギリスの若者。
貴族の子弟を真似て、グランドツアーでおのぼりさん感覚でパリ探訪。
美貌の伯爵夫人と恋に落ちる途中の仮面舞踏会のトリックは、
謎解きに疎いぼくもひょっとしてと思ったが、
最後の謎明かしには、なるほどと。
各場面がきちんと書かれていて、
オペラとか舞台とかでもいい感じ。
『ドラゴン・ヴォランの部屋』には、何か出るそうだが。

短編では『ローラ・シルヴァー・ベル』がイチオシ。
これは恋は盲目的話。

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われはサイボーグ

生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来 (現代哲学への招待 Great Works)

生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来 (現代哲学への招待 Great Works)


週末、昼は録音しておいたラジオ番組を聴きながら、
トライアルの原稿を書く。
夜は芋焼酎のソーダ割りを飲む。

『生まれながらのサイボーグ』アンディ・クラーク著を読む。
スマートフォン、インターネット、VR、ARなどで人はサイボーグ化する。
その功罪を考察しながら、人の進化を探る。
パーフェクトヒューマンならぬポストヒューマンって何?
この本は哲学の範疇らしいが、SFぽかったりして楽しく読めた。
攻殻機動隊』の義体とも、もろカブるし。
最も心に残ったのは、訳者が訊ねた著者からの解答。
引用する。

「携帯可能で偏在的な新しいテクノロジーの波が次々に押し寄せてくるのを目にするにつれて、わたしたち人類とそのテクノロジーが融合し、混ざり合い、共進化する、という本書の中心的メッセージがますます受け入れやすくなるように思われる、ということは述べておきたい。加えて、障害を負った人々の多くが今は堂々と義肢(身体の補強器具)を装着しており、もはやこうした義肢を生物的形態に似せて作る悩みがなくなっていることは見ていてうれしい。心の補強器具の方はあまり進歩していないが、
「スマートドラッグ」の使用は今後ますます受け容れられるようになると
思っている」

 

「心の補強器具」という表現は唯心論者には反感を買いそうだ。
メンタル・ライザップ。

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ムッシュ ムラカミ

いつの間にか、妻が村上春樹の新作を買っていた。
後悔しているようだ。
お下がりが来たら読んでみよう。
それにしてもパンのように売れる本とは。
版元は、ほくほくだろうね。

福島原発避難児童へのイジメが問題になっている。
とかく転校生はイジメられがちだが。
経験者は、そう思う。
ただし、いまの方がより陰湿で件数も増えているような気がする。

ラジオでかまやつひろし追悼番組を聴く。
カントリー&ウエスタン、ロカビリー、GS、フォーク、ポップス、ジャズ。
マイケル・フランクスの『スリーピング・ジプシー』日本盤の
ライナーノーツをムッシュが書いていて、
チェット・ベイカーの系譜にあるマイケル・フランクスとか、
そんな内容。チェット・ベイカーのアルバムを聴いて、はまったり。
あとは、ドラマ「時間ですよ」で演じた、演じてないか、
「釜田質店」の店主役とか。

Youtubeから、この1曲。
バックがタワー・オブ・パワー
で、続けて聴きたくなるこの名曲も。

 

 

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花嫁は~

屋根裏の仏さま (新潮クレスト・ブックス)

屋根裏の仏さま (新潮クレスト・ブックス)


雨がほしいと思うが、雨が降ると止めと思う。
目がかゆく、洟水も起き抜け、とめどなく出るので、
花粉症の市販薬を服用し出す。

『屋根裏の仏さま』ジュリー・オオツカ著を読む。
夫になる人のことを写真だけしか知らないで
アメリカに嫁に行った「写真花嫁」の話。
日系人である作者にとっては
ルーツというかアイデンティティにつながる。

日本人妻たちは、ひっくるめて「わたしたち」で語られる。
写真で見る夫に抱く幻想と現実のギャップ。
ま、これは普通に結婚生活をしていても感じるようなものだけど。

他の移民に比べて文句を言わず、飯も少なくてよく、
真面目に働くという日本人移民の評価は、
燃費が良くて故障しにくいなど日本車の評価にも似ている。

過酷な労働、カルチャーショックなどを
懸命に乗り越えようとする「わたしたち」。
子どもができて果樹園などの仕事も基盤に乗る矢先に、真珠湾攻撃
日本人への評価も一変する。
ナチスドイツがユダヤ人を片端から強制収容所に送り込んだように、
アメリカも日系人強制収容所に幽閉する。

日本人がいなくなった町の記述で終わる。
ここで。砂漠の強制収容所での「わたしたち」の暮らしも
読みたいけどね。

ノンフィクションでもいいのに小説にする。
画家志望だった作者ゆえ描写が絵画っぽい。
「写真花嫁」から見た戦争。
この世界の片隅に』にも通じるものがある。
確かに小説にした価値があると素直に思えた。

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ごらん!! パレードが行くよ

民主主義を直感するために (犀の教室)

民主主義を直感するために (犀の教室)


小沢健二の新譜『流動体について』 で
苦しそうにファルセットで歌うところが頭から離れなくて困る。

テレビで見た小沢健二はどこか大学の文系学部の准教授っぽい風貌。
偶然、似てなくもいないご面相の
『民主主義を直感するために』國分功一郎著を読む。

いろんなことを気づかされたり、うなづいたリ。
ランダムに書いていく。
フランスのデモと日本のデモを比較して。

「デモにおいて「働く」必要はない。高い意識を持ってシュプレヒコールを挙げたり、横断幕を用意したりしなくていい。団子でも食いながら喋っていればいい。ただ歩いていればいい。なぜなら、単に群衆が現れることこそが重要だからだ」

 

 

パレードでいいんだ。

「民主主義の役割の一つは、政府や行政を公開性の原理によって監視し、
その肥大化を防ぎ、健全な統治行為を導くことにあります。私はこれを権力のダイエットと呼んでいます。放っておくと必ず肥大化する権力を民主主義的な手続きで随時、減量させるのです」

 

 

世界のあちこちで権力が肥満しているいまは、民主主義が効いていないときか。

市場原理主義や競争、「人参と鞭」といった考えが幅をきかせているという現実は、我々の社会が、あまり多くのことを考えたくないという方向に向かっていることを示している」

 

大学を専門学校化するのもその線上にあるようだ。即戦力という、まさに余計なことを
考えない、考えられない、都合の良い人間を生産するために。

書評、対談、論考、ルポルタージュなどスタイルもまちまち、
テキストの長さもまちまち。
それが、より考えさせることになっている。
裏声で歌いながら読みふける。

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2017.02.26の5首

CapsLockキーがオンになっています そうさ 大文字の人生 ゆくのさ おれは

仮面夫婦の仮面レスラー  仮面舞踏会へ 花粉症ゆえ 春先はマスクも外せず

同級生から 突然連絡 保険か マルチか カルト宗教か それとも

ポメラニアンが2匹 ブーツ女子にしがみつき 腰をかくかく ちゃう フェイクファー

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